神社を守る　セキュリティの現場から②　2004.11.9中外日報　

手口に「対応」の小物や七つ道具

　風呂敷包みにほっかむり。泥棒と聞いて時代劇のねずみ小僧のような格好を思い浮かべる人もいるかもしれない。一般的に「人相が悪い」「キョロキョロして落ち着きがない」「大きな荷物を担いでいる」「マスクに帽子にサングラス」といったイメージを持っている人が多いだろう。

　ところが実際の泥棒は「普通の格好」が最も多く、犯行手口に対応しているのが最大の特徴。銀行強盗でもない限りマスクに目出し帽といった格好はしんあい。まるでカメレオンのように、いかに目立たずに周囲の環境になじむかを考えているわけだ。

　「手口に対応する」というのは、呼び止められた時の言い訳に対応するということ。侵入先が寺社なら観光客のようなカジュアルウェア、商店街なら背広にネクタイのサラリーマン姿で紛れ込めば不審に思われる可能性も少ないし、呼び止められてもたやすく言い逃れできるからだ。

　さらに泥棒は、服装だけでなく小物にも気を使う。観光客を装うならカメラに土産物、サラリーマンに扮するなら商談用のカタログやアタッシュケース、法事に紛れ込む場合は喪服に数珠、といった具合だ。制服を着用し宅配業者などを装うケースも後を絶たない。

　また、持参する七つ道具も手口によって大きく異なる。現場調達派もいるがドライバーやライター、バールなどが多く、ドライバーやライター、バールなどが多く、ドライバーやライターはガラス破りや焼き破りに、バールは扉のこじ開けなどに使う。

　なかには、サムターン回し用の道具を独自に作っている窃盗犯もいるといい、刃渡り数十センチの包丁など、武器を携行して強盗に及ぶ事件も多発しており油断はできない。

　金融機関のカードを盗みだしたうえ暗証番号を聞き出し、現金を引き出してしまうといった凶悪な事例も重蔵しているのが現実だ。

　服装から手口、道具に至るまで、泥棒の手段は一般の常識と大きく異なり悪質で巧妙。日ごろの防犯対策を講じるにあたっては、この点をしっかり認識することが必要となってくる。